2025年、日本のキャンプブームは単なる一過性のトレンドではなく、ライフスタイルの一部として定着しつつあります。一般社団法人 日本オートキャンプ協会が発表した「オートキャンプ白書2025」では、キャンプ利用回数・泊数・消費動向・利用者層の変化など、業界全体を俯瞰できる貴重なデータがまとめられています。

この記事では、その白書の内容をもとに、最新のキャンプ市場動向・ブームの背景・今後の展望を詳しく解説していきます。


目次


1. 2025年のキャンプ市場トレンド総まとめ

オートキャンプ白書2025によると、2024年度のキャンプ参加者数はおよそ820万人。コロナ禍直後のピーク時と比べるとやや落ち着きを見せつつも、依然として高い水準を維持しています。

特筆すべきは、平均利用回数が5.0回、平均泊数が6.7泊というデータ。つまり、キャンプを“年に1〜2回の特別なイベント”ではなく、定期的に楽しむ習慣として取り入れる人が増えているのです。

この傾向は「キャンプ=非日常」から「キャンプ=日常の延長」への価値観シフトを示しています。リモートワークの普及やワーケーション需要も後押しし、今後も“生活型アウトドア”の拡大が期待されます。


2. オートキャンプ白書2025の主要データと読み解き方

白書では、国内キャンプ市場の動向を次のように整理しています。

  • 年間平均キャンプ回数:5.0回(前年比▲0.3回)
  • 平均泊数:6.7泊(前年よりわずかに減少)
  • キャンプ支出額:1回あたり平均32,000円(前年比+5%)
  • キャンプ人口:約820万人(前年比96%)

数字だけを見ると「やや減少傾向」に見えますが、実際は市場の成熟を意味しています。かつての“ブーム的消費”から、“継続的・安定的なアウトドア需要”へと移行しているのです。

この背景には、以下の3つの要因があると考えられます。

  1. キャンプ人口がピークに達し、固定化し始めている
  2. ギアや施設が充実し、満足度が高まったため急増が落ち着いた
  3. 新規層の参入よりも、リピーターの維持が中心となった

つまり、「ブームの成熟期」=市場が安定して根付いた段階に入ったと言えるでしょう。


3. 物価高・猛暑・気候変動がキャンプ市場に与える影響

2025年のキャンプ市場を語る上で外せないのが、「物価高」と「猛暑・気候変動」の影響です。

特に2024年夏の記録的猛暑は、キャンプ場の稼働率や宿泊回数に影響を与えました。一部地域では熱中症リスクの高まりから宿泊を控える動きも見られました。

一方で、秋~春にかけての“オフシーズン利用”が増加傾向にあります。高断熱テントや電源サイトの普及により、「冬キャンプ」「春キャンプ」が新たな主流となりつつあります。

また、物価高の中で消費者は「価格より体験」を重視する傾向が強まっています。これは“モノ消費”から“コト消費”へのシフトを象徴しており、アウトドア体験の価値が高まっていることを意味します。


4. 利用者層の変化:ファミリーからソロ、そしてペット同伴へ

オートキャンプ白書2025では、利用者層の変化も明確に示されています。

  • ファミリー層:依然として主流(全体の48%)
  • ソロキャンパー:約22%(前年比+3%)
  • ペット同伴キャンパー:約15%(前年比+4%)

特に注目は「ペット同伴キャンプ」の急増です。多くのキャンプ場がドッグラン併設サイトを整備し、宿泊施設もペット可を拡大しています。家族の一員としてペットと一緒に自然を楽しむ文化が浸透してきました。

また、ソロキャンパー層の増加は“自分時間”を求めるライフスタイルの反映でもあります。動画投稿やSNSシェアを通じて、キャンプが「自分を表現する趣味」としても定着しています。


5. 変わるキャンプギアと体験価値

キャンプ市場の成熟に伴い、ギア(道具)のトレンドも変化しています。

  • 軽量・省スペース化:軽バンや小型車でも積めるギアが人気
  • 電源・ガジェット対応:ポータブル電源やソーラーパネルの導入が進む
  • サステナブル志向:再生素材やリペア可能な製品を選ぶ層が増加
  • デザイン性重視:“映えるキャンプ”を意識したギア選び

「便利でおしゃれ、しかもエコ」。この3要素が現在のギア選びの基準になっています。SNSでの情報拡散力が高いため、ブランドは“見た目×実用性”を重視する傾向を強めています。


6. 地域創生としてのキャンプ場運営と自治体の動き

地方自治体や企業によるキャンプ場の新設・再生も相次いでいます。2025年は特に「地域資源を活かしたアウトドア施設」が増加中です。

例として、福島県三春町にオープンした「Lake Sakura Campsite」では、地元の湖とカヤック体験を組み合わせたエコツーリズム型施設として注目を集めています。こうした施設は単なる観光拠点ではなく、地域の雇用創出や観光ブランド化にも貢献しています。

また、キャンプ場を拠点とした「移住体験」や「地域交流イベント」も増加しており、キャンプが地方創生の重要な要素となりつつあります。


7. 今後の展望とキャンプ業界が向かう方向性

キャンプ市場は成熟期を迎えつつも、今後も堅調な成長が見込まれます。その理由は次の3つです。

  1. ライフスタイル化:キャンプが“生活の一部”として根付いた
  2. テクノロジー融合:予約・決済・AIサポートなどの利便性向上
  3. 地域分散型観光:自然資源を活用した持続的な観光開発

また、環境保全・マナー啓発など「責任あるキャンプ文化」への意識も高まっています。“自然と共に生きる”アウトドアのあり方が、次の時代のテーマになるでしょう。


8. まとめ:キャンプが「日常になる」時代へ

オートキャンプ白書2025から見えてくるのは、キャンプが「ブーム」から「文化」へと進化している現実です。数字の上下に一喜一憂するのではなく、生活の中に自然を取り戻す動きが定着したことこそが、最も大きな成果です。

2025年以降は、“非日常”ではなく“日常の中の自然体験”としてキャンプが続いていくでしょう。忙しい現代社会の中で、焚き火を囲み、星空を見上げる時間こそが、心の豊かさを取り戻す瞬間です。

あなたのキャンプスタイルも、少しずつ変わっていくかもしれません。 「自然と生きる」その原点を、これからも大切にしていきたいですね。


出典:観光経済新聞|オートキャンプ白書2025

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